歯周病と糖尿病の深い関連について
糖尿病の人が歯周病にかかりやすいことはよく知られています。
詳しいメカニズムについてはまだ解明されていませんが、血糖値が
高い状態が続くと体の免疫機能が低下し、さまざまな感染症にかかり
やすくなります。歯ぐきも同様に歯周病源菌に感染しやすくなるのでは
ないかと考えられています。
さらに最近は歯周病になると糖尿病が悪化するという逆の関係性も
明らかになってきました。
歯周病源菌が歯ぐきに感染すると免疫をつかさどる白血球の一つ、
マクロファージがサイトカイン、TNF-αという物質を分泌し炎症を
活発化させる働きをします。
TNF-αは血液中の糖分の細胞内への取り込みを抑える働きもあるため
血糖値をさげる(血液中の糖分を細胞内へ取り込ませる)働きのある
ホルモン、インスリンの働きを阻害してしまいます。
それに加え、歯周病源菌の死骸はエンドトキシンと呼ばれる毒素を
体内へまき散らします。エンドトキシンは脂肪組織や肝臓からの
TNF-αの生産を強力に推し進め、さらにインスリンの働きを阻害します。
インスリンが働きにくくなれば、正常な血糖値を維持することは、
難しくなります。
歯周病患者はそうでない人に比べて、糖尿病になる危険性が、1.7~4.6倍、
心筋梗塞など心臓の冠動脈疾患の危険性が1.5~2.7倍高いとのことです。
歯周病を完全に治癒させることは糖尿病と同様に難しいことかもしれませんが、
歯周病源菌の質と量をコントロールし、血液中のTNF-α濃度を低下させることに
より血糖値のコントロール状態を示すHbA1c値も改善するというデータもあります。
口腔ケアが全身の健康を左右するという認識のもとにセルフケアのみならず
定期的なケアに歯科医院を受診していただければと思います。
2014年3月20日(木) に配信された毎日新聞に、北海道大病院歯科の菅谷勉准教授が
書かれた『歯周病は糖尿病と深い関連』という記事が載っていましたので、
一読頂ければと思います。(クリックすると字が大きくなります。)